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ライオンズへの想い~T野さんとライオンズ~

22:33

今日、久々に職場で一緒になった同僚に高知はどうだったか?など聞かれ話していた時の事。

 『jilさん、そういえばT野さんは今どうしているかしら・・・』

と言われ、去年の春季キャンプの出来事を思い出した。



去年の1月の終わりの頃だったでしょうか・・・。
私は他の病棟の介護士Kさんに呼び止められた。

『あ、jilさん!今度時間のある時でいいんだけど、うちの病棟のT野さんという患者様に会いに行ってあげて欲しいんだけど。T野さんはライオンズファンらしくて、jilさんだったらいろいろお話してあげられるんじゃないかと思って。元気が出るんじゃないかと思って。お願い出来る?』

私は即座に『えぇ、もちろん!私に出来る事なら!』と答える。
まず私はKさんが患者様の為に何か出来る事はないか?と考えてくれたその気持ちが嬉しかった。


T野さんは水頭症でうちの病院に入院された患者様。
他の病棟の患者様でもお手伝いに行った時や入浴介助などでお会いする事もあり、顔は覚えていました。
初めてお会いした時にはお声を掛けてもまばたきもほとんどなく、発語発声・自己体動なども出来る状態ではありませんでした。
私は終末期医療の病院に勤めています。
回復という言葉に祈りを込めながらも、現実にはそれが難しい患者様が病院全体を占めます。

T野さんは奇跡的に再手術が上手くいき、『おはよう』等の挨拶程度の発語が出る状態に回復してきていた時に
Kさんが私に声を掛けたようです。


その日の午後。
勤務が終了した後に私はT野さんの病室へ向かいました。
『あ、jilさん!来てくれたんだ!こっちこっち!』と、その病棟のスタッフ全員私の元へ駆け寄ってくる。
病室に入りベット上で横になりボーっとしているT野さんに
『こんにちは、T野さん。私はjilと申します。
 皆さんからお聞きしたのですが、T野さんはライオンズファンなんですよね?』
と声を掛けると
瞳に光が射した様に輝き『うん、らいおんずだ、だいす・・・き』と口元をほころばせて答えます。
病室の入り口でその様子を見守っていたスタッフ達から『わぁ~』と喜びと驚きの声がこぼれました。
私も大のライオンズファンだと言う事と、改めて今度ライオンズについてお話しましょうと言う事を伝え、
まだ術後間もなく、首も回らず目は宙を彷徨っていることから、数分でも無理はよくないと思い
その日は退室させていただきました。


それから出勤の度にT野さんの病室へお伺いする様になって
少しずつではありましたが発語も良く出るようになり、声を上げて笑う様になった時に
2日後に南郷へ春季キャンプ見学に行く事をお話しすると
お土産話を是非楽しみにしているとニコニコ笑顔のT野さん。

私に何か出来る事は無いだろうか?と考え、
『T野さん、選手のサインは欲しいですか?』とお聞きすると
『サイン!欲しい欲しい!もらえるの?』と目を輝かせます。
『頑張ってもらってくるから!サインにT野さんへ頑張れ!って書いてもらうから、元気になる為にもっともっと頑張れる?』と言うと
『うんうん、もっと頑張る!頑張れる!』と少年の様にはしゃぐ姿に胸が熱くなりました。
『ほんとほんと?』
うん、絶対に約束だよ。


そして私は宮崎南郷へ。
その話をすると友人知人がサインペンや色紙を用意してくれて、
私の代わりにサインをもらってくれたりと協力をしてくれました!
選手が書いてくれた頑張れ!の文字を何度も何度も見返しては
どこでもドアがあったらすぐにでもT野さんの元へ飛んでいきたい気持ちでいっぱいになり、
帰りの飛行機では飛行機の恐怖など吹き飛んでしまっていた位です(笑)。


そして翌日。

1分1秒でも早くT野さんにサインやカレンダー・写真を届けたくて、
T野さんの病室へ向かうと、丁度T野さんの奥様が御面会中でした。
御面会中の失礼をお詫びし、T野さんに約束のサイン色紙を渡します。
『ホントだ!凄い凄い!ありがとう!』喜んではしゃぐT野さんを見てビックリする奥様に
これまでの経緯をご説明すると、奥様は両手で顔を覆いボロボロと泣き始めてしまいました。

T野さんは昔からの熱狂的なライオンズファンで西武球場で試合がある日は皆勤賞だったらしく、
病気になってからは観戦することが全く出来なくなったとの事でした。
主人がこんなに喜ぶなんて本当にありがとうございます!と涙を流す奥様に
私もついつい熱い想いがこぼれてしまいました。

普段人みしりのせいか声を掛けても挨拶出来ないスタッフも
『あんなに喜んで声を上げているT野さん初めて見ました!jilさんありがとうございます!!!』と私に興奮して話しかけてきたり、病棟の介護士の全員が一緒になって良かった良かったと喜ぶ姿にまた涙。


それから一月後。

T野さんが退院したとの話を耳にしました。
ずいぶんと急だな・・・とは思っていましたが、この病院から退院すると言う事は
順調に回復している証拠だと私は安心していたのです・・・・・。

数日後のある日。
『jilさんに御面会の方が来ていらっしゃいます』と言われ行ってみるとT野さんの奥様が。




お久しぶりです、その後はいかがですか?とお聞きすると
『主人は手術しなければ後4日の命だと言われています』
ショックでした。
病魔は再びT野さんを襲いました。
ドクターからこの病院では手術が出来ないからどうするかと聞かれ、
奥様は残りの4日間に一か八か賭けた手術の為の転院だったとおっしゃいました。
もちろん、生きる為に。



私のした事はもしかしたらT野さんを興奮させるだけのものでかえってご迷惑だったのでは?と言うと
奥様は両手で私の手を優しく包みこみ
『私はあんなに元気で大はしゃぎして喜ぶ主人を久しぶりに見ました。
 ライオンズ仲間と一緒にチケットを買ったり、観戦予定をたてたり、
 立って歩けるようになる為にベッド上で一生懸命足を動かそうとしたり、
 本当によく頑張っていたと思うのです。
 この病院に入院した時、そんな姿が見れるとは思いもしませんでした。
 jilさんがもらってくれたサインを病室の壁にいっぱい貼って毎日毎日それを見ながら頑張ってたんですよ。
 本当にありがとう。感謝しています。』

そして可愛いリボンのついた包みを私にそっと渡すと
『これね、jilさんに食べて欲しくって探してきたの。
 これね、なかなか手に入らないのよ。
 本当にね、美味しいの。
 大したものではないかもしれないけれど私達の感謝の気持ち』



私は奥様の手を何度も何度も何度も握り返しながらT野さんの手術の成功を祈りました。
T野さんに出会えた事の感謝を奥様に伝えながら・・・。



あれから1年。
T野さんはどうしていらっしゃるでしょうか。
奥さまやライオンズファン仲間と一緒に今シーズンの開幕を楽しみに待っているに違いないと私は願う。
どうか同じ空の下でライオンズを応援していますように。



この出来事で私はいろんな事を教えてもらいました。
介護士達の想い、奥さまや仲間達の想い、T野さんのライオンズへの想い・・・・。


やっぱり野球って凄い。
ライオンズってすごい。
そのライオンズの選手達って凄い。
すごいすごいすごい力が、目には見えなくても強い強い力がある。
どんなにつまずこうとも、そのユニフォームを着るという事に誇りがあるように今、この瞬間を感じて走って欲しい。

選手達が頑張る姿が知らず知らずのうちに誰かのエネルギーになる。
誰かの為でなくてもいい。
自分の為に頑張れるなら、それがファンの力になる。
すごい事なんだよね、本当に。





思わず溢れ出した気持ちのまま突っ走って書きなぐったので
支離滅裂な文章かもしれません、ゴメンナサイ・・・

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コメント

  1. だい | URL | -

    泣けました。T野さんに奇跡は起きたと信じたいです。

    新庄が「プロ野球はなんでもない日常にささやかな彩りを添えるためにある」と語っているのを聞いたことがあります。僕はプロ野球から、ささやかどころか莫大な彩りをもらっていると思っています。

    僕だって「西武ドームに行くんだ、ライオンズを応援するんだ」という思いでピンチを乗り切って、今なんとかやっていけていると思っています。プロ野球ってホントに凄い職業です。

    >思わず溢れ出した気持ちのまま突っ走って書きなぐったので
    支離滅裂な文章かもしれません、ゴメンナサイ・・・

     読みやすかったですし、気にすることはないと思います。僕も勢いとか感情で書きなぐることも多々あります。あとで読み返すと冷静に書くより、感情で書いた方が面白いんですよね。

  2. jil | URL | -

    だいさんへ

    私ももう一度奇跡が起こったと信じたいです。

    私が今まで見向きもしなかった野球を観るようになったのは
    『野球が死の床にいる病人さえも動かす力』に感動したからなんですよね。
    こんな力」のある野球ってどんなものなんだろう?と
    患者様と一緒に観る様になってからです。

    だから選手の皆さんには、どうせ自分なんてもう駄目だとか思わないで
    誇りを持って精進して欲しいなと思うのです。

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